Special : ガンダムEXPO東京2008『重力戦線』トークイベントレポート

 2008年8月12日〜17日にかけて、東京・池袋サンシャインシティにて、開催された『ガンダムEXPO東京2008』。映像、立体物、ゲームなどガンダム関連のアイテムや最新情報が一同に会するイベントにて、最終日の前日にあたる16日に『MS IGLOO2 重力戦線』(以下、『重力戦線』)のステージが行われた。

 当日は夏休みの真っ最中であり、入場制限が出るほどの混雑。ステージには、『重力戦線』の監督である今西隆志氏、そしてスーパーバイザーである出渕裕氏が登壇。
「今日は、いろんな会場でいろんなイベントが行われている中、こういう場所に来て、こんな作品を見るのもいいんじゃないかと思います」(今西)
「ガンダムEXPOの会場を見たら親子連れの方が多かったので、そういうノリのステージなのかと思っていたら、会場に集まった方々はいつもの『MS IGLOO』のイベントに来るお客さんと同じ感じだったので半分安心しています」(出渕)

 

 という二人の挨拶から始まったステージ。出渕氏が言うとおり、『MS IGLOO』シリーズ最新作の情報をいち早く知ることができるということで、家族連れで賑わう会場において、ステージ前には年齢的にやや高めのコアなガンダムファンが中心となって集結(とは言え、親子連れや女性ファンも多少はいました)。ほぼ満席に近い状況でトークスタート。

 「『重力戦線』では連邦軍視点から描かれているんですよね?」との質問に対し、「いろんな人に突っ込まれているし、ここにジオニストの方がいたら怖いのですが(笑)。ジオンは相変わらず強いので安心して見てください」、「(ザクに対抗する手段がない連邦兵にとって)ザクは宇宙人ですよね。そして、後半は宇宙人を通り越して怪獣になります。ザクは大きくて重いですね」(今西)ともっぱら話題はザクの大きさや怖さ集中。
 
 軽いトークの後、最新のプロモーション映像が上映。大画面にフルハイビジョン、5.1chの音声で、物語の主人公である対MS特技兵と先ほど話題となったザクとの戦いが映し出される。

 その迫力を目の当たりにした司会者からは「迫力の増した映像で、ザクは怖かったです」との発言に対し、「あの大きさは本当で、インチキはしていないです。だから、実際にザクと戦ったらあれくらい怖いはずです」(今西)とやはり映像ではザクとの対比にこだわった点が明らかにされた。

 

 トークは、出渕氏、今西氏のそれぞれ個人についての質問に突入。
「出渕さんはフリーランスの鑑みたいな人ですね。会社に属しておらず、いろいろと自由な意見を聞かせてもらえるのが頼もしいです。それから、年代も近いし、好きなものも近いので、愚痴が判ってもらえる人なので、ありがたい存在ですね」(今西)

「今西さんは完璧主義者。なんでもかんでも自分でやるということではなくて、こだわりの部分ではすごいですね。今回は、監督だけでなくプロデューサーも兼任されているんですが、組織を動かしていくのが好きな人でもありますね。僕からすると「プロデューサーは他の人に任せて、監督や演出家としてやってほしい」と言うと、そこにもこだわりがあるので、苦笑いしながら「いやいや」とはぐらかしながら、大人な感じで生きているなと思います」(出渕)
 とお互いを評し、司会曰く「話を聞いていると、二人は友情以上の関係で、“戦友”みたいな感じがします」というように、『MS IGLOO』シリーズが二人の信頼関係によって、より深みが加わっているのが判った。

 そして、続いては前シリーズを思い出してもらうということで、『MS IGLOO 一年戦争秘録』と『MS IGLOO 黙示録0079』からそれぞれ名シーンを抜粋して上映。
 『一年戦争秘録』は第3話のヅダの発艦シーンから、軌道上での救出シーン。『黙示録0079』からは第3話のビグ・ラングの戦闘シーンがセレクトされ、こちらもハイビジョン、5.1chで映像が流された。

 ここでは、出渕氏がそれぞれデザインを担当したモビルスーツのヅダとモビルアーマーのビグ・ラングのデザイン秘話を披露。
「ヅダは後ろのロケットノズルが1本という男らしい姿が好きですね。一年戦争では、型式番号の穴を探すのがたいへんなくらいモビルスーツが登場しているんですが、「なぜ、今までその存在が表に出てこなかったのか?」という状況も含めて1体くらい新しいモビルスーツを出せないかと、設定も含めて考えました」(出渕)

「ビグ・ラングは、全体的なフォルムはビグロが上半身みたいに、スカート的な部分が下半身になって、引いてみると巨大なモビルスーツにみえるといいな……というシルエット的な狙いでデザインしました」(出渕)
 そして、『MS IGLOO』では技術屋という存在にスポットを当てた理由なども語られ、再び話題は『重力戦線』に移行する。

 ここで、バンダイホビー事業部で『U.C.HARDGRAPH』シリーズの開発に携わる江上嘉隆氏が登壇。サンライズD.I.D.スタジオが制作した映像用の3DCGモデリングデータを商品化にあたって提供する一方で、ホビー事業部がプラモデル用の設計CADデータを映像に使用するという形で、“モデリングデータの共有”を図ってきた結果誕生した、『重力戦線』とは切っても切れない存在である『U.C.HARDGRAPH』のこだわりのポイントを紹介していった。

 

 そして、サプライズという形で、「完成したばかりの『重力戦線』の冒頭シーンがどこよりも早く上映します」との司会の言葉に、会場ではどよめきが上がる。そして、冒頭数分の映像が流され。ほんのわずかだが、本編の持つ迫力を体感できた。

「ここまでしか見せないなんて、すごい生殺しですよね」という出渕氏の言葉もあり、まさにファンとしては「早く続きが見たい!」と思わせる形でイベントは終幕へ。

「今回は、露骨にメカに魂が宿っているというか、取り憑いています。そして、重力がありまして土煙も下に垂れます。地球をしっかりと描いているので、その辺りを楽しんでください」(今西)
「地球連邦軍側からの視点とは言っても、さっきの映像を見るとどう見てもジオン軍が主役にしか見えない作りになっていますが、ちゃんとこの続きは連邦軍が主役の話になっています。最初のIGLOOの時は、地上戦というのは
CG的にカロリーが高いので1回だけだったんですが、今回は今西監督から地上戦がやりたいと言われて。それは危険なんじゃないかと言ったんですが、それを覚悟してやるということだったので。今の映像を見て貰えば判るんですが、俯瞰で戦場を見せるというのは大変なんですけど、それができれば、広がりがガッチリ表現できると。地上の表現に心配しているところもあると思いますが、そこは、先行投資と言うことで。そうしたチャレンジがなければこの先の作品もないと。これを皮切りに始まるさまざまな表現をアプローチしているところを見て欲しいなと思います」(出渕)
「来ているお客さんの男性比率がすごく高くて、『ガンダムSEED』や『ガンダム00』とのイベントの時の客層と比べるとシブイ感じですが、コアなファンは30年待った映像ということで、ぜひ盛り上がってほしいなと。そして、気に入ったらプラモデルも手にとってもらえたらなと思います」(江上)

 

 三者三様の見所ポイントが語られ、トークイベントは終了。今西氏や出渕氏の語るポイントに注意しながら、『重力戦線』の本編を見れば、よる深く楽しめること間違いなし。10月24日の発売日には、ソフトを手にして存分に本編を楽しんでほしい。

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